神奈川県は、南は相模湾、東は東京湾の海に接し、北部は丹沢大山の山並み及び西部には箱根火山を持ち、自然環境に恵まれている。 例をあげれば海岸線は砂浜や岩礁など自然の海岸が多く存在し、特に相模湾には豊かな動物相が見られ、明治以来日本の動物学研究に多くの資料を提供し、その発展を支えてきた。 箱根山地は、火山という特殊な環境で、独特の植物相を持ち、植物学研究発展への寄与が大きかった地域である。 丹沢山地は、首都圏にありながらツキノワグマ、ニホンカモシカ、ニホンジカなど大型の哺乳動物が生息する場所であり、自然環境の質の高さを表わす指標として注目されるところである。 この神奈川県も、首都圏にあるが故に、産業活動は活発、人口は稠密であり、その社会的発展は今後も途絶えることはないであろう。
人間の社会的な発展は、自然環境の保全とは対立する関係にあると一般に思われてきた。しかし、例えば丹沢山地の自然に涵養された豊かな水資源が私たちの生活を支え、経済活動を支えているように、豊かな自然環境はそれ自体の価値のみならず、人間の生存にとっても重要である。それ故、自然と共存する社会を築くことが、未来の豊かな生活につながるものと考えられる。 この考えを広め、具現化していくための組織として「神奈川県自然保護協会」が1965(昭和40)年10月に設立され、以来約40年に渡り国内自然保護関係団体の先駆けとして、また県内を代表する自然保護団体として活動し、実績を残してきた。 この度、環境保全に関心の高まる時代の要請に応え、従来の協会を発展的に解消させ「特定非営利活動法人 神奈川県自然保護協会」を設立し、もって自然保護活動を更に強化し、その実を積極的に挙げることを期するものである。
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